今回のロゴマーク応募企画『杖立のしるしはぼくらのしるし。』は、杖立温泉街にいらっしゃった方だけが参加できるという、非常にユニークなものでした。応募者は杖立の住民とともに街を散策し、杖立の歴史等を尋ねて歩きながらロゴマークを一緒に考えていきました。それだけに、杖立の風景や風物詩を正確に捉えた、素晴らしい作品ばかりだったように思います。
 最終的に118作品集まったロゴマークは、住民およびお客様の投票と、選考委員による選考を重ねました。しかし、票はまとまらず、1つのロゴマークを決定するまでに至りませんでした。そこで、選考委員長である日比野克彦氏に一任し、ロゴマークを決めて頂くことになりました。
 長い選考時間を経た結果、応募作品の中の複数案を組み合わせることで、杖立温泉街のロゴマークとして使用していくことに決定いたしました。その原案がこのマークであり、さらに日比野氏がディレクターとして手を加え、12月を目途に最終的な形となります。そして、この原案をかたちづくる案を作って下さったそれぞれの方に、最優秀賞を贈呈することとなりました。
 近年、旅館がひしめく杖立温泉街の路地裏に、面白みを抱くお客様が増えてきました。高低差の激しい路地に張り付く建物群は、歴史ともに増改築を重ね、どこからどこまでが同じ建物なのか、住民の方々でないと判別がつかない状況です。また、その周囲に縦横無尽に走る温泉の配管は、まるで生き物のようにも目に映ります。杖立温泉街を初めて訪れた日比野氏は、その風景の不思議さ、滑稽さ、そして1700年の歴史を経て表出した、人間らしい暮らしの営為に感銘し、複数のロゴマークを組み合わせる不思議な形にたどり着いたということです。
 このロゴマーク案は、12月を目途に最終的な形となりますが、それで完成、というわけではありません。一般的なロゴマークは、スマートな静的な姿におさめられてしまいますが、杖立の街はそうではなく、そこに暮らす方々や訪れてくださるお客様と共に、これからも発展・変化し続けることそれ自体をロゴマークに託していこうと、日比野氏と検討しております。時には、別の要素が新たに付け加えられることもあるかもしれません。今後このロゴマークは、杖立温泉街のダイナミックなエネルギーを象徴する『杖立のしるし』として用いられていき、どこにもないユニークなロゴマークとなっていきます。
 最後に、日比野克彦氏をはじめとした、今回の企画におきましてご協力頂きました関係者各位、投票にご協力頂いた皆様、そして何よりも杖立温泉街のためにロゴマークを作成し、応募してくださった全国の皆様に、厚く御礼申し上げます。また、当初は1つのロゴマーク案を採用する予定であったにも関わらず、複数案を組み合わせる形で採用となった点に関しましては、杖立温泉街の風景と暮らしの有り様を表現する大切なコンセプトであるが故、ご了承頂きますようよろしくお願い申し上げます。不思議な可能性が詰まったロゴマークに楽しみを抱きながら、今後も末永く、杖立温泉街を見守って下さりますと幸いです。

文責:杖立温泉観光協会・杖立ラボ


※最優秀賞のみ、日比野克彦氏が選んだものです。その他の賞は、投票結果を踏まえ、杖立内の各団体の代表者が選びました。
 
井上佳子(日田市)
<コンセプト> 昔懐かしいような、趣きのある感じ、情緒みたいな感じから、昔のひらがなの「ゑ」ひともじで「つえ」と温泉の湯気をもじって表現しました。こういう新しい発想やプロジェクト、若い人達やいろんな人達が集まって何か盛り上げていこうっていう活気がわくわく湧く湯気みたいでおもしろくていいなぁと思いました。みんなの気持ちやつながりの中からステキなことがわくわくワクワクおこっていったらいいな。
中内和樹(小国町)
<コンセプト> この絵は、もりの木や、こいのぼりの、こいと、おんせんがあります。その中に、木は、つえたての、つえ、のぶしゅで、その、左がわにあるのが、こいで書いた、左のぶしゅです。そして、最後に、つえたての、たて、がおんせんのお店で、立てというかんじです。
時松卓史(小国町)
<コンセプト> この絵は、つえたてのつえの木の所をつえにしました。たては、温泉が有名だからマークを使って書きました。で、絵の所は、温泉の時、大人が酒を飲んでいるイメージがあるのでおぼんの上に酒を乗せました。で横の人は、一息ついて汗をぬぐっているところです。
 
伊津見純子(小国町)
<コンセプト> 杖立温泉の「ツ」の字。湯煙り、シンボルの杖(スティック)を表してみました。
 
コトリ Design office みやざきさゆり(小国町)
<コンセプト> 杖立温泉の文字の中に人と湯気を組み合わせることによって、お客様と杖立(湯気)、杖立の皆さんと温泉(湯気)の関係をより深く、そして発展していくように願い作成提案いたしました。
 
首藤望希(小国町)
<コンセプト> 私の杖立のイメージが、おばあちゃんやおじいちゃんだったのでイメージどおりに書きました。体で「杖立」という漢字をつくりました。
 
長谷千草・川畑美雪(大阪市)
<コンセプト> 杖立温泉に入ると杖いらずの元気な体になります。杖をついていた人達は皆、杖立温泉に入って元気になり、いらなくなった杖を温泉に置いていってしまいました。
 そこへある日、足の無い鳥が1羽やってきました。その鳥は温泉に浮かぶ杖の上に体を乗せました。すると、どうしたことでしょうか!!! 浮かんでいた杖が鳥の足になったのです。喜んだ鳥はその後、杖立に住み着き町の守り神となりました。もしかしたら、路地裏でばったり会えるかもしれませんよ。ほ〜ら、鳴き声が…。